みんなが主役!笑って驚く一夜限りの公演。 ~東ちづる代表に聞く、「まぜこぜ一座」に込められた思い~
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ライター:aki
一般社団法人Get in touch の「まぜこぜ一座」が、約1年3か月ぶりの公演を2024年6月16日(日)に、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂・東京都渋谷区宇田川町)で開催します。
第一部は2024年10月公開予定の映画「まつりのあとのあとのまつり~まぜこぜ一座殺人事件~」の完成お披露目会。第二部は、歌とダンスのコラボレーションを中心とした舞台「月夜のからくりハウス」公演です。公演への思いや、観客と出演者双方のバリアフリーについて、代表の東ちづるさんにお聞きしました。
「みなさん」の中に「私は入っていない」そんな思いをする人がいないように
――今回の公演では、様々なバリアフリーの取り組みをなさっていますね。
東さん 「“みなさんどうぞお越しください”の "みなさん”に自分は入っていないんだな……。障害があると、そう感じる場面があります」
6月3日に行われた記者発表の際、車いすユーザーでGet in touch事務局の石川が、こう話しました。この公演ではそんな思いをする人を少しでも減らしたい。観客のバリアフリーを、これまで以上にきめ細かく準備し、あらゆる障害に対してひらかれた公演を目指しています。
聴覚障害者には、手話通訳と手話が見やすい指定席を用意しました。文字通訳、日本語字幕など、手話話者以外の聴覚障害者も想定しています。
難聴者向けには音がクリアに聞こえる機器を貸出します。この機器はLINE CUBE SHIBUYAに、もともと備え付けのものを活用します。
視覚障害者には、音声ガイドをスマホの無料アプリ「HELLO!MOVIE」を使って提供します。ご自身のスマホにこのアプリを入れてイヤホンをご持参ご来場いただければ、どなたでも聞くことができます。音声読み上げに対応したデジタルパンフレットも制作しました。
車いす席は、オーケストラピットを外し、可能な限り座席数を確保。ストレッチャーでの鑑賞も可能にしました。
――きめ細かく準備されたんですね。
東さん 合理的配慮の提供が義務化されたといっても、まだ社会に浸透しきっていない状況でもあり、コストも時間も労力もかかります。
でも、車いす席やスロープの準備はむしろ当たり前。過去にはスロープを作って持ち込んだこともあります。そこを超えて、さらに取り残されている人はいないか、不十分な点は無いか考え続け実行しています。
音声ガイドや難聴の方への対応は、高齢になってくると障害者でなくても誰にとっても助かります。
ステージはコラボが見どころ。大河ドラマ出演中のDAIKIさんも登場。
――公演の見どころはどこでしょうか。
東さん お客様は、毎回皆さんそれぞれに違う感想を持たれるので、「これ」と決めるのが難しくて。全てのパフォーマンスを挙げたいくらいです。
これまでの公演をご覧になった方にはおなじみの素晴らしいパフォーマーはもちろん出演します。例えば、全盲のシンガーソングライター佐藤ひらりさん、義足ダンサーの大前光市さん、車いすダンサーのかんばらけんたさん、ガーナと日本にルーツを持つボーカルユニットYANO BROTHERS、自閉症ラッパーのGOMESSさん、ダンスチームのだうんしょーず……ほかにもたくさんいます。
その皆さんが、ここでしか見られないコラボを見せてくれます。「まぜこぜ一座」ならではです。
――ダンサーでは、DAIKIさんがNHK大河ドラマ『光る君へ』で、安倍晴明の従者「須麻流」役で出演中です。今回のステージには出られますか?
東さん もちろんです!DAIKIさんは、リーダーをつとめるダンスユニットSOCIAL WORKEEERZの一員として登場します。
メンバーの大河の出演はうれしいですね。こういう機会を増やすための活動でもありますから。まぜこぜ一座は、「“施し”ではなく“チャンスの創造”」と考えています。
――ほかにもお勧めのパフォーマーはいますか?
東さん 世界第3位のベリーダンサーSAYURIさんと、世界チャンピオンのポールダンサー小源寺涼太さんのコラボもあります。
また、今回の目玉はなんといっても米良美一さん。『もののけ姫』を生歌唱してくださいます。
手話通訳やカームダウン用の個室など、出演者へのバリアフリーも
――これだけ様々なパフォーマーが一堂に会すると、出演者側のバリアフリーも気になります。
東さん 手話通訳は毎回つけています。それから、公演を行う会場のスタッフとの打ち合わせも大事です。会場のスタッフは、車いすダンサーや全盲のシンガーが出演することは想定していない場合が多いので、事前に丁寧に打合せをします。
また、自閉症の出演者なら1人になれる小さな個室を用意する場合もあります。演出ではあいまいな伝え方はせず、「最初の3小節は、ステージの上手の、この5m四方の範囲で踊ってください」等、より具体的に伝えるように気を付けています。
ほかにも、万一に備えて医療スタッフは必ず1名は配置したり、酸素を準備したりなどの工夫もしています。
「障害者だから」ということではなく、誰もが日常の中で、お互いに配慮をしています。例えば、あの人は家が遠いから早く帰れるようにしようとか、お子さんが小さいから時間は短めにしようとか、高齢の方だから休める場所を作ろうとか。それと基本的には同じだと感じています。
――まぜこぜ一座のステージは、言葉では言い表せないエネルギーが感じられます。
東さん 舞台上ではまぜこぜの様々なパフォーマーが、自分の身体的・内面的な特徴を存分に活かしたパフォーマンスで魅せます。
ただ、「まぜこぜ」の体験は、実はステージだけでは無いと考えています。
バリアフリーの環境を整えると、観客席には当然様々な障害のある人たちがいます。入場した時から「まぜこぜの社会」を自然と体験できるのです。ステージも観客席も様々な人がいる空間に身を置くことで、何かを考えたり感じたりする機会になります。
10月公開の映画「まつりのあとのあとのまつり~まぜこぜ一座殺人事件~」もお楽しみに!
――16日に完成お披露目となる映画についても、お聞かせください。
東さん ポニーキャニオンの配給で2024年10月に公開予定です。詳しくは8月以降に発表となります。
つい先日、音声ガイドのチェックを兼ねて試写を見ました。「これだけの社会派な内容を、笑えるサスペンスにしたのはすごいね!」という感想を頂戴しました。とにかく面白いので、こちらの続報も楽しみにしていてください。6月16日の公演に来られた方は、先行して映画を見ることができます。
音声ガイドも字幕も、サスペンスなので、どこまでどう情報を出していくか、試行錯誤しながら制作しました。エンディングテーマも豪華メンバーなので、ぜひエンドロールの最後まで席を立たずに見てほしいです。
6月16日の当日は、1階ロビーで2023年公演『歌雪姫と七人のこびと~ず』の写真展示や、Get in touchの活動紹介とグッズ販売を実施します。こちらは、13時からオープンしています。舞台鑑賞チケットがなくても入場可能なので、どんな感じか少しだけ見てみたい方も、お気軽にお立ち寄りください。
公演の当日券があれば、その場で購入もできます。
唯一無二の「まぜこぜ一座」映画&パフォーマンス
映画「まつりのあとのあとのまつり~まぜこぜ一座殺人事件~」社会派コメディーサスペンス映画と一夜限りの歌とダンス
◆日時:2024/6/16(日)
16:00 開場
17:00 映画上映
18:30 休憩
18:45 パフォーマンス公演
20:30 終了(予定)
◆チケット
一般:1階席6,000円、2階席5,000円
※障害者と、障害者同伴介助者1名様まで半額 (障害者手帳またはミライロIDをご提示ください)
※子ども半額
チケット販売はこちら(Livepocket):歌とダンス公演 & 社会派コメディサスペンス映画上映 「まつりのあとのあとのまつり~まぜこぜ一座殺人事件~」
Get in touch公式・告知サイト:6/16 映画上映&パフォーマンスイベント開催
写真提供:一般社団法人Get in touch
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ライター aki
ASDの長男と、たぶん定型発達の夫と暮らしています。私自身は診断をうけていませんが、おもちゃを一直線に並べて遊ぶ子どもではあったらしいです。 Twitter: https://twitter.com/akiko_m_psy10
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