日本初のユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」に行ってきた!
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ライター:Media116編集部
皆さん、こんにちは。ゼネラルパートナーズの菊池です。Media116で、オープン前に記事で紹介したユニバーサルシアター「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」。誰もが“一緒に”映画を楽しむことのできる日本初のバリアフリー映画館というコトで注目を浴び、Media116でも閲覧ランキングNo1になりました!(2016年9月26日時点)
9月1日に無事オープンしたとのことで、早速スタッフのみんなでお邪魔してきました。前回オープン前でご紹介できなかった内装や設備、上映映画についても写真付きで詳しくレポートします!
バリアフリー映画館「CINEMA Chupki TABATA」設立に至ったきっかけは?
改めて、「CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)」誕生までの背景を少し。。。
当映画館を設立・運営しているのは、バリアフリー映画鑑賞推進団体 City Lights。元々、「目の見えない方にも映画を楽しんでもらいたい」という思いから、2001年からシアター同行鑑賞会等、定期的にイベントを開催していました。
代表・平塚さん(左)と、支配人の佐藤さん(右)
シアター同行鑑賞会では、劇場の映写室から音声ガイドを行い、その声をFMの電波で送信、ラジオのイヤホンで流すという試みを行い、目が見えなくても劇場で映画が見たい方に好評を博していましたが、一方で「こうした日時限定の生ライブだと、どうしても映画を見られる機会が少なくなってしまう・・・」という悩みも抱いていました。
そんな想いの中、City Lightは常設の映画館作りに取り組みます。そして100箇所以上の物件を探し、531人以上の方の募金を受け、2016年9月ついにオープンしたCINEMA Chupki TABATA!
「どんな方にも、いつでも映画を楽しんでもらいたい」 ・・そんな思いの詰まった、優しい映画館です。
早速、ユニバーサルシアターの中へ・・・
CINEMA Chupki TABATAは、JR山手線「田端駅」北口から徒歩5分のところにあります。ホームページの地図・アクセスページを見ると、徒歩のルート以外に車椅子のルートも記載されています。こんなところにも当映画館のコンセプト、心づかいが伺えます。
▼CINEMA Chupki TABATA 公式ホームページ
http://chupki.jpn.org
地図を頼りに映画館に到着、映画館は1階にあり、建物の入口から館内入口、トイレのいずれも段差がなく、スムーズに出入りできる設計。早速映画館に入ってみると・・・
≪建物・管内の様子≫
建物に入って目に飛び込んでくるのは、Chupkiの木の壁画。よく見ると葉っぱに何かが書いてあるので聞いてみると、
「書かれているのは、支援者の皆様の名前です。」
なるほど、センスいい・・・きっと支援者の方もうれしいですね。 そして映画館の奥へ進むと・・・さすがユニバーサルシアターを謳うだけある、オールフラット。完全バリアフリーで建物入口、トイレ、劇場入口には、まったく段差がありません。車椅子でも楽に移動できます。
映画といえば、これ。ポップコーン。入り口で購入できます。
もちろんトイレもバリアフリー。オールフラットで車いすで中まで入れます。入り口には点状ブロックのパターンが!
いよいよスクリーンのある劇場内へ。常設の座席は15席とこじんまりした、どことなくほっこりとした空間。この小ささが通常の映画館ではナカナカ味わえない観客の一体感を生み出します。そして小さいながらに居心地も音響設備もばっちり。こだわりのつまった空間です。
車椅子のまま鑑賞したい方は後ろに専用スペースもあります。後ろといってもこのサイズ、通常の映画館で車椅子の方がよく味わう見づらいストレス、もないかと思います。
※座席は最大25席ほどです。来場前に空席を問い合わせるのがおすすめ!
そして、座席には、、、ありました!うわさの「音量調節器」。受付でイアホンを借りて座席に挿すと、右耳・左耳それぞれに音量調節ができます。難聴の方にはおすすめ。
さらに、ナント親子鑑賞室まで。。。お子様が泣き出してしまっても、このお部屋から映画が鑑賞できます。
その他にも・・・
◎音声ガイド付き上映 (視覚障害のある方が、いつでも映画を楽しめます)
◎字幕付き上映 (聴覚に障害のある方がいつでも楽しめます)
◎手話活弁士付きの上映 (先天的に聴覚の障害がある方でも楽しめるように定期的に行います)
とまさにユニバーサルシアター。ここまではナカナカできません。さらには、カフェタイムも設定されており、映画鑑賞後に、感想をシェアすることができます。すばらしいです。
映画チャップリンを鑑賞してみて
9月はチャップリン特集。週替わりでチャップリンの名作が上映されます。
その他、
「かみさまとのやくそく〜胎内記憶を語る子供たち〜」
「バグダッドカフェ ニューディレクターズカット版」
を上映。毎月、支配人厳選の作品が観られます。
我々は、チャップリンの「キッド」を鑑賞しました。
ここまで来て「ん?チャップリン?」と疑問を抱いたあなたはスルドイ!知ってる方にとっては当然ですが、元々チャップリンは無声映画。音がありません。そのチャップリンに、視覚障がい者向けの音声ガイドをつける、面白い発想です。
これがとにかく面白かったです。解説が本当に自然で、景色や登場人物の心情がすっと心に入ってきました。音声ガイド付きの映画を観たのは初めてでしたが、声優さんの声音の使い分け等、状況描写の巧みさに魅せられました。
そして、元々音がなくてもストーリーがわかる無声映画。聴覚障がいの方でもそのまま楽しめるのは言うまでもないですね。
バリアフリー映画館「CINEMA Chupki TABATA」を体験して・・・
印象的だったのは、平塚代表の
「障がいのある方だけのための映画館だと思ってほしくない」
という言葉です。むしろ、それまで障がいのある方と接する機会の少なかった方にこそ来てほしい。
同じ映画を観て感想をシェアすると、距離が近づく。障がいの有り無しに関わらず、気づいたら仲良くなっている瞬間を体感してほしい・・
代表のお話を聞きながら、これからCINEMA Chupki TABATAでそんな素敵な瞬間がどんどん生まれてほしい、、そう思いました。
▼CINEMA Chupki TABATA 公式ホームページ
http://chupki.jpn.org
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ライター Media116編集部
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