【体験談】私が感じた「カウンセリング」の効果
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ライター:森あおい
みなさん、こんにちは。発達障がいのある森あおいです。前回の記事で、生き辛さを克服するため「自立とは依存先を増やすこと」に基づいた3つのライフハックを紹介しました。今回は、1人の患者の視点からカウンセリングを受けて変化したこと・気づいたことを中心にお伝えすることで、これからカウンセリングを受けようか迷っている人の参考になればいいなと思います。
カウンセリングを受ける前のわたし
カウンセリングを受ける前の私は、常に人の顔色を伺い、少しでもダメなことがあると自責思考に陥る、自己肯定感0いやむしろマイナスのネガティブな子でした。
そんな子になった原因の一つが家庭環境。年の離れた兄弟のいる長女だったので「お姉ちゃんでしょ」の決まり文句とともに我慢することが多く、人に甘える方法が分かりませんでした。また、親にかまってもらいたいという一心で勉強に打ち込みましたが、さらに高みを求められ、いつの間にか100点をとれない自分を責める完璧主義の思考が染みついてしまいました。
前回の記事では、「はじめてカウンセリングを受けた時に救われた〜」と、ことも無げに書いてましたが、実際は散々な状態でした。なにしろ、人に頼る方法が分からない、自責が強すぎるから現実を認識する能力に欠けている、人の顔色ばかり見てきたから自分が何を考えているかすら分からないなど、カウンセラーとまともに会話ができない状態。最初の頃はただカウンセラーと漫画を読むだけだったり、泣いてばかりだったのを覚えています。
カウンセリングを受けた後のわたし
そんなぐちゃぐちゃメンタルだった私も、中学1年の頃から(通ってない時期を除くと)カウンセリング歴は5~6年。何度も弱い自分と向き合ってきた私にとって、カウンセリングでは単にアドバイスをもらうだけではなく、限られた時間の中で①自分の感情や出来事を言語化し、②問題を解決するにはどうしたら良いかを”自分一人で”考えられるようになるための、心のトレーニングができると思っています。長いトレーニングの中で培った、今でも役に立っていると感じる①と②の力について詳しくお伝えします。
①自分の感情や出来事を言語化する
カウンセリングを受けていた時、悲しい・辛い感情から早く逃れたいと思っていました。だから、モヤモヤを感じる出来事を自分の言葉でカウンセラーに伝えようとする、ここに大きな意味があると思います。なぜなら、自分の頭の中で考えるだけだと、主観的な思い込みやマイナスな気持ちに支配されることがあるからです。
カウンセリングを通じて、自分の辛さを言葉として吐き出し、それをもう一度目や耳から自分の中に取り入れることでクールダウンする、そして少しずつ客観性や冷静さをもって思考できるようになりました。今ではカウンセラーがいなくても同じことができるように、日々の気持ちをノートに書き出して思考整理するように心がけています。
②問題を解決するにはどうしたら良いかを考える
私はこれが苦手で、特にマイナス思考になると、問題の表面を見るばかりで感情にのまれ、本質的な原因に向き合えませんでした。しかし、カウンセリングではカウンセラーが質問をして、悩みに対して段階的に思考する・解決策を探す手助けをしてくれるから、自分と向き合うことができます。
例えば、なぜ生き辛いのか?なぜ自分がダメだと思うのか?どんな環境だったら生きやすいのか?普通ってなに?普通じゃなければ不幸せなのか?などの質問を繰り返します。質問から見えてくる原因は様々で、自分の偏った思考や社会通念、家庭環境、承認欲求、人とのコミュニケーション不足などなど。さらに、それらの原因一つ一つの解決法を考え、トライアンドエラーで自分に合うものを探しました。
私の場合はカウンセリング5年目あたりでようやく、できないことがあっても過剰に自分を責めないようになったり、「まあいっか」が口癖になったりしたので、なが〜い目で自分を見守るのが大切かもしれません。今ではカウンセラーがいなくても問題解決のサイクルを行い、ダメだったとしても気長に考え続けることを心がけています。
カウンセリングってどこで受けられるの?
では、実際にカウンセリングを受けてみたいけど、どこで受ければいいかわからない、敷居が高い、自分にあったカウンセラーがいるか不安という方もいるでしょう。
私の場合は、在学中はスクールカウンセリング(無料)を利用し、大学を出る時にはカウンセラー経由で、投薬だけでなくカウンセリングができる心療内科を紹介してもらいました。その病院では、1回50分で5000円だったので、金銭的に厳しい方には一般開放されている大学付属の相談室(1回2500~4000円ほど)がおすすめです。
また、引越しで病院を離れなければいけなかった時に、オンラインカウンセリングも利用したことがあります。cotreeというサービスで、1対1のメッセージを、1ヶ月毎日(週2回はカウンセラーが休み)相談できて、13000円(税抜)。オンラインで対面のカウンセリングもありましたが、私としてはメッセージ式の方が自分のペースで相談できて、コメントを後から見直せることに魅力を感じました。
また、cotreeでは事前に性格診断、悩みの種類に応じてカウンセラーをマッチングしてくれるので、当時キャリア関係のことで悩んでいた私には、産業カウンセリングの経験が豊富な方が担当してくれたのもよかったです。近くに病院が少ない地方の方や、忙しくて相談の時間が取りにくい方にはオンラインカウンセリングをおすすめしたいです。
まとめ
今まで何度も同じような課題にぶつかっては、カウンセラーと一緒に自分の心の扱い方を考え、実践し続けました。頑張って思考や行動を変えようとしても、3歩進んで2歩半、時々3歩戻ることばかり。でもゆっくりと、少しずつでも変わろうとした結果、ものごとを客観的に捉え対応できるようになりました。これを読んで、少しでもカウンセリングに興味を持ってくれたら嬉しいです。
次回は、3つのライフハックの2番目「複数の拠り所をつくる」について詳しく書きます。いま困難を感じている方に少しでも役立てば幸いだなと思います。
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ライター 森あおい
社会人になる直前に発達障がいの診断を受け、障がいに興味を持つように。自らトラブルの波を起こし、その中で溺れそうになりながらなんとか生きてきた人。障がいだけでなく、5人に1人と言われているHSP、生理前の不調であるPMS/PMDDとも向き合う日々。「生き辛さを抱える人の居場所や選択肢をつくりたい」をテーマに執筆活動を行う。
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