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ひとつじゃない 〜裁判で見つけた社会的障壁〜

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ライター:風来坊

障がいがあると様々な活動に支障が出ることがあります。こうした支障を社会的障壁(バリア)と呼びます。片手が不自由な私の場合は、吊革につかまれないので電車に乗ることが苦手だったりします。電車ならタクシーという代わりの選択肢がありますが、代わりのない制度を利用するときはどうしたら良いのでしょうか。この記事では、身体障がいと発達障がいのある私が、裁判という制度の中で見つけた社会的障壁をお伝えします。

【今回のテーマ】

正義の光に圧倒される筆者

私は、法的トラブルに巻き込まれ、弁護士を付けずに裁判を経験しました。このことは以前の記事に書いた通りです。
今回は、その裁判の過程で私が感じた「制度の中の社会的障壁(バリア)」を、体験をもとにお伝えします。

【筆記が求められる訴状づくり】

パソコンで作った訴状を裁判所に受け取り拒否される筆者

裁判を起こすには「訴状」という書類を裁判所に提出しなければなりません。
訴状は、裁判所で配布される用紙に必要事項を記入するものなのですが、事故で利き手が不自由な私は筆記が苦手です。
普段、手紙の宛名などは支援員の方に代筆をお願いしていますが、訴状は膨大な字数のため代筆はあきらめ、手の痛みに耐えながら、数日かけて少しずつ書き上げて提出しました。
実は訴状はWordなどパソコンでの作成も可能なのですが、私の場合は筆記での作成を求められました。「手書きが難しい方はパソコンでも大丈夫です」という案内が最初にあれば、、、と、今でも思います。
訴状の後に何度も提出する「準備書面」には決まった書式がないため、スマホの音声入力とMicrosoft Wordで作成していました。

【リモート参加と合理的配慮】

裁判には、Microsoft Teamsを用いてリモートで参加する「WEB会議」という形態があります。
私は裁判所まで電車で1時間以上かかる場所に住んでおり、片手が不自由なため大量の資料を持つと吊り革につかまれず、電車での移動は実質的に困難です。
そこでWEB会議での参加を申し出ましたが、当初は認められませんでした。
そこで私は、障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」を求めました。合理的配慮とは、障がいがあるために活動に支障が出る場合、企業や行政などに対応を求めてよいというルールのことです。
「裁判所までの移動に困難があるので、WEB会議で裁判に参加させてほしい」
この申し出により、裁判所は最終的にWEB会議での参加を認めてくれました。
制度の言葉を知っていたことが、私を助けてくれたのです。

【法廷でメモが取れない】

スマホの音声入力でメモを取ろうとしたら、裁判所に拒否された筆者

私は片手が不自由なため、メモはスマホの音声入力を使っています(この記事も音声入力で書いています)。
しかし法廷では、敷地内での録音録画を禁止するルールがあるため、音声入力は許可されませんでした。
代わりに認められたのはパソコンの持ち込みでしたが、片手の指がうまく動かない私には、それでもメモは困難でした。
仕方なく、メモしたいことは裁判が終わるまで頭の中で何度も唱え、敷地を出た瞬間にスマホの音声入力で記録する、、、という方法でしのぎました。
録音禁止のルールには理由があるのだと思います。ただ、「書けない人がその場で記録する手段」は、まだ用意されていないのが現状です。

【専門用語についていけない】

法廷では法律用語が飛び交いますが、裁判官や相手の弁護士がひとつずつ説明してくれるわけではありません。コミュニケーションが苦手という障がい特性もある私には、ついていくだけでも大変でした。
そこで私は、敷地外で音声入力を使って作ったメモを複数のAIに分析させて「裁判メモ」を作り、それをもとに次回の準備書面を作成していました。

【裁判を終えて思うこと】

私たちは法の下の平等が認められていますが、裁判手続きにおいては障がい者はハードルが高く、障がい者と健常者では裁判手続きは不公平であると感じている筆者

結論を言うと、私は弁護士を付けずに裁判に勝ちました。
それでも、勝訴までの道のりで強く感じたのは「もし私に身体障がいや発達障がいがなければ、もっとスムーズに裁判を受けられただろう」ということです。
訴状の筆記、移動、法廷でのメモ、専門用語、、、ひとつひとつは小さく見えても、積み重なると大きな壁になります。
バリアは私の障がいそのものではなく、筆記や移動や口頭でのやりとりを前提とした手続きの側にある―これが、裁判を経験した私の実感です。
一方で、合理的配慮を申し出たことでWEB会議での参加が認められたように、声を上げれば変わることもあります。裁判という制度が、障がいの有無にかかわらず正義を主張できる場になっていくことを願っています。

【同じ立場のあなたへ】

最後に、裁判手続きで困ったときに使える手立てを紹介します。
・訴状や準備書面は、Wordなどパソコンでの作成も可能です(事前に裁判所に確認を)
・移動や手続きに困難がある場合は、障害者差別解消法に基づく合理的配慮を裁判所に申し出ることができます
・支援員の代筆や、自治体の意思疎通支援事業など、使える支援を組み合わせましょう
制度は完璧ではありませんが、知識と工夫で越えられる壁もあります。この記事が、同じ立場の誰かのヒントになれば幸いです。

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ライター 風来坊

東北の片田舎在住のアラフォー。 児童虐待、いじめ、パワハラ、自傷による措置入院を経験。 田舎では福祉に偏りがあると考え30代から大学で福祉を学ぶ。 数年前には事故で利き手が不自由になり、現在はリハビリを兼ねた趣味(プラモデル、ニードルフェルト、UVレジン)に没頭中。 いつか全ての人が楽しめる駄菓子屋を開きたい。

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