この1席を譲るべき相手は誰?「こころのトリアージ」について考える
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ライター:わに
皆さんこんにちは、ゼネラルパートナーズでライターをしているわにです。私はてんかんとそれに付随する器質性気分障がいがあります。外見ではわからない障がいなので、外出時に具合が悪くなった時にはヘルプマークをつけています。今回はある日、電車であった実際の出来事を元に「こころのトリアージ」についてお話していきたいと思います。
「トリアージ」はひとりひとりのこころの中に存在する
みなさんは「トリアージ」という言葉をご存知ですか?簡単に言うと、医療の現場で使われる用語で患者の状態に応じて治療の優先度を決めることです。
※詳しくはこちら…「トリアージ」とは
私は最近電車内で体験した出来事の中で、ひとりひとりが持っているであろう「こころのトリアージ」の違いを感じました。ここで言う「こころのトリアージ」とは、自分の中である基準に沿って優先順位や重要度を決め、人と接することという意味で使いたいと思います。今回はその出来事を元に「こころのトリアージ」について考えてみたいと思います。
優先すべきは誰?初老の女性VS障がい者
ある日、私は会社帰りに具合が悪くなったのでヘルプマークをつけて電車に乗っていました。例のごとく、だーーれもヘルプマークなんか気にしない。ヘルプマークをつけて優先席の前に立っていても席を譲ってなんかもらえない。
ヘルプマークの認知度の問題か?私が一見元気そうに見えるからか?はたまたヘルプマークを悪用していると思われているのか?理由はわかりませんが、その車両の乗客たちは「障がいがあるかもしれない具合の悪そうなヘルプマークをつけた女性」を見て見ぬふりをすることに決めたのです。
私の目の前にはスーツのおじさんが座っていました。前に立った時、彼の目が一瞬私のヘルプマークを捉えましたが、すぐにスマホへと目を移したのでした。
「よくある、よくある。譲ってほしいなんて言ってトラブルになるのも嫌だし…あと12駅、我慢だ。」
そう私が思っていた時、60代くらいに見える初老の女性が乗ってきました。すると目の前のおじさんは「秒」で立ち上がり、彼女に席を譲ったのです。
背筋がしゃんとしている初老の女性VS具合が悪そうなヘルプマークをつけた女性。おじさんは前者に席を譲ることを選んだのです。
以前私は「【妊婦VSヘルプマークをつけた障がい者】ゆずりあい合戦が勃発!!その時周囲は…」という記事を書きました。周囲には見てみぬふりを決めこむ乗客。ヘルプマークをつけた体調の悪い障がい者と、大きなおなかの妊婦さん…どちらがその1席に座るべきだったのか?という内容です。
私はその時の出来事を思い出していました。今でも正解はわからないのです。一体誰がその1席に座るべきだったのかと。
「こころのトリアージ」の違いを受け止めること
この時のおじさんの「こころのトリアージ」はどんな基準だったのでしょうか?彼に限らず、健常者が手を差し伸べる時、席を譲る時などに基準としている「こころのトリアージ」はどんなものなのでしょうか?
妊婦>高齢者>外見で障がいがわかる障がい者>ヘルプマークをつけている人?
はたまた、
高齢者>外見で障がいがわかる障がい者>妊婦>ヘルプマークをつけている人?
…いずれにせよ、助けが必要な人たちに手を差し伸べるべき優先度、親切にすべき優先順位が健常者ひとりひとりのこころの中にはあるのかもしれないと、その時私は思ったのです。そして、それには万人それぞれ違った基準があって、違った優先度があって。そしてきっと、模範解答もないのです。
そう考えると「しゃんとした初老の女性より、ヘルプマークをつけた具合が悪そうな障がいのある私に席を譲ってほしい」と考えてしまうことはとてもわがままで傲慢だったのだと気づかされました。
ひとそれぞれ、違った「こころのトリアージ」がある。それを念頭に置いておくだけできっと「べき」思考がやわらかくなり、物事を受け入れる幅も広くなるのだと考えさせられた出来事でした。
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ライター わに
17歳の時に側頭葉てんかんを発症、精神障害者手帳2級の障がい者。 酸いも甘いも経験してきた熟れ時アラサー女子。 「全力で働き全力で遊ぶ」がモットー。 誰彼構わず噛みつき周囲をヒヤつかせるため「わに」。 過激な記事を投稿しようとし編集長に止められるのが日課。
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