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【前編】「障害児保育問題」あなたは知っていますか?

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ライター:Media116編集部

皆さんこんにちは!Media116編集部です。今回私達は「障害児保育問題」に関して、「認定NPO法人フローレンス」に取材をさせて頂きました!障害のあるお子さん、医療的ケアが必要なお子さんをお持ちの親御さんだけではなく、皆さまに「障害児保育」の現状を知って頂ければ幸いです。後編では「障害児訪問保育アニー」についてとアニーを利用されている親御さんのリアルな声をお届けします!

障害児保育問題を解決する!認定NPO法人フローレンスとは

フローレンスは“「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」の実現を目指す、社会問題解決集団“として、病児保育問題、障害児保育・支援問題、孤育て問題、ひとり親家庭の貧困問題などの課題に対し、「フローレンスの病児保育」や「障害児保育園へレン」「障害児訪問保育アニー」といった事業を運営するほか、政策提言活動を推進し、社会問題の解決に取り組まれています。

医療的ケア児を持つ家庭の母親の常勤率は5%だといわれています。子どもに疾患・障害があることで親御さんが仕事を諦めなければならないためです。

障害児保育問題への解決策として、フローレンスは2014年杉並区で日本初の医療的ケアの必要な子や重症心身障害児の長時間保育を実施する「障害児保育園ヘレン」を開園しました。

ヘレン荻窪

2015年には自宅でマンツーマン保育する「障害児訪問保育アニー」を、2019年には18歳までを対象とする訪問支援「医療的ケアシッターナンシー」を提供開始しました。そして現在ではヘレン・アニーを利用した母親の常勤雇用率は98%となっています。

フローレンスでは、障害の有無に関わらず全ての子どもが保育を受けられること、親御さんが社会人として、一人の人間として働くということを「選択できる世の中」にすることを目指しています。

「待機児童にすらなれない」医療的ケア児の切実な問題

少子化の現代で、医療的ケア児は増加しており、ここ10年間で見ると医療的ケア児は約2倍になっているという現状があります。出産の段階で亡くなっていた可能性のある子たちが、医療技術の進歩により命が救われてきているということが背景です。その中でも日本はトップクラスで、これは世界に対して誇れることでもあります。

一方で、多くの医療的ケア児や重症心身障害児などは認可保育園では医療的ケアがあるという
だけで受け入れを拒否され、「待機児童にすらなれない」という現実があります。

皆が「インクルーシブ」に生きられる世の中に

フローレンスでは現在の保育問題を解決すべく様々な事業を立ち上げており、現在は医療的ケア児を専門的にお預かりしていますが、これはゴールではないとスタッフは言います。

「医療的ケア児でも健常児でも当たり前のようにインクルーシブに、むしろインクルーシブという言葉もないように育てられるような社会にしていきたい。」それこそがフローレンスが叶えたいことなのです。

例えばアメリカのある州では「子どもはみんな同じ」「友達と学び、遊ぶ権利がある」という思想に基づいて特別支援学級や特別支援学校すらなく、インクルーシブな教育方針があり、それが理想の形なのだと語ります。

教室

進まない医療的ケア児の受け入れ

フローレンスの理想である「インクルーシブな保育」を築いていく上で課題となっているのは日本の制度、「概念としての保育のインフラ」が整っていないことだと言います。

認可保育園でも看護師は配置されていますが、フローレンスが目指すところと比較すると配置基準が十分ではないと感じているそうです。ある認可保育園では200人の児童に対し、在中する看護師が1人しかいない場合もあるそうです。そうなると、もしその認可保育園に1人の医療的ケア児が入ったら、看護師はその子に付きっ切りになってしまいます。

まずは配置する看護師の数を増やすことが必要ですが、自治体によっては補助がでないところもあり、その場合、認可保育園側が費用を捻出しなければならなくなるため、なかなか医療的ケア児の受け入れが進まないといいます。

解決するために必要なこととは

この課題を解決するためにフローレンスが必要だと考えていることが2つあります。

1つ目は国・自治体からの補助を増やすこと。
2つ目は認可保育園側が医療的ケア児を預かっている施設の事例を学び取り入れていくこと。

しかしながら、認可保育園は制度の制限があり柔軟に決まりを修正することは難しいという側面もあります。そのような状況を踏まえると、まずは障害児支援施設に適用されている「児童発達支援」の制度を改善し、医療的ケア児の預かりにインセンティブをつけることが必要だと言います。

※児童発達支援とは?
障害のある児童を通所させて、日常生活の基本的動作の指導や、知識や技能の付与等の訓練を行うサービスです。障害児の通所サービスは、以前は障害種別ごとに分かれていましたが、複数の障害に対応できるよう平成24年度より一元化され、児童発達支援センターと児童発達支援事業所(これまでの知的障害児通園施設や児童デイサービス事業所等)で行われています。
(引用:障害福祉情報サービスかながわ)

赤ちゃん

児童発達支援の制度区分は大まかに2つに分けられます。
1つが「重症心身障害児」を対象にしたもの、そしてもう1つが「重症心身障害児以外」の子を対象にしたものです。

「重症心身障害児」かどうかの判断は「大島分類」という約50年前に当時の小児科医の大島先生が作った分類法を採用しています。この分類法ではIQと運動能力で子どもたちを分類しており、「重症心身障害児」とはIQ35以下で歩くことができない子を指します。

「重症心身障害児以外」とは、いわゆる発達障害児等を想定しています。

一方で、医療的ケア児は「新しい障害児」とも呼ばれ、この50年前の分類にあてはまらない子どもたちも増えています。医療的ケアが必要であっても歩くことができる子どももたくさんいます。その子は看護師による医療的ケアを常に必要とするのに、この分類では発達障害児と同じ「重症心身障害児以外」に当てはまります。「重症心身障害児」が施設を利用すれば約24,000円/日が国から事業者へ支払われますが、「重症心身障害児以外」が施設を利用した場合には金額はその半分以下となってしまいます。

しかしそのような子でも看護師がつきっきりで医療的ケアを行い、それに伴いすべての職員が様々な注意やコストを払いながら預かる必要があります。1人の医療的ケア児を預かるにはとても多くの人とお金が必要なのに、古い基準のままで分類されているためにミスマッチが起こり、国から事業者へ払われる給付金が一気に減ってしまうのが大きな問題です。

つまり、「歩くことができる医療的ケア児」は事業者側として預かれば預かるほど赤字になるのです。

今必要とされていることは、そういった子を預かった際に事業者側が赤字にならぬよう、しっかりと報酬単価(給付金)を増やして、事業者が医療的ケア児を預かるインセンティブを働かせる必要があるのです。

立ちはだかるのは世間の「偏見」

フローレンスが医療的ケア児に関する保育問題を解決すべく動く際に、ひとつの大きな壁が立ちはだかると言います。それは世間の「偏見」です。

「障害児保育園へレン」設立時には大変苦労されたといいます。共働きすら認めない方がいる中で、「重い障害の子どもを保育園に預けるべきではない」「親が面倒を見るべきだ」「障害児を集めて保育するなんて差別だ」…という声を投げかけられることもあったそうです。

ヘレン荻窪_2

驚くべきなのは、このような意見を役所の窓口の方が言うということ。医療的ケア児の受け入れを認可保育園側や自治体が決めるよりも、役所の窓口のたったひとりの方の考え方で設立の可否が決まってしまう恐ろしさを感じたそうです。

そして、これはたった6年前の話です。心のバリアフリーや多様性の尊重が浸透しつつある中で、こういった意見を受け「遅れている」と感じたそうです。だからこそ今、フローレンスはそんな「当たり前の価値観」を変えたいと立ち向かっているのです。

次回、後編では「障害児訪問保育アニー」と、アニーを利用されている親御さんへの取材内容を書いていきたいと思います。障害児保育の現場は一体どんなものなのか…!?乞うご期待!

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ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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