1. Media116
  2. スポーツ
  3. その他
  4. 障がい者就労に“やりがい”を。東京・多摩市のスポーツバー「E’s CAFE」 ~事業収益のみで運営し、全国の福祉事業所のロールモデルを目指す~

障がい者就労に“やりがい”を。東京・多摩市のスポーツバー「E’s CAFE」 ~事業収益のみで運営し、全国の福祉事業所のロールモデルを目指す~

この記事を共有

ライター:Media116編集部

障がい者の就労と言えば、まず工場や作業所などを思い浮べる人が多いのではないでしょうか。仕事内容は単純作業が中心で、就労継続支援A型であっても平均賃金は6万7795円(2016年12月厚生労働省発表)と、障がい者の就労はそもそもの選択肢が少ない上、賃金にも課題があります。しかし、この現状に一石を投じる事業所が、東京・多摩市落合のカフェ&スポーツダイニングバー「E’s CAFE」です。

お洒落なスポーツバーで、誇りを持って働く

一般社団法人パラSCエスペランサは、脳性まひ(CP)サッカーを中心としたパラスポーツの普及振興と、障がい児者の社会生活支援を目的に、放課後デイ・サービスや就労訓練施設の運営、スポーツイベントや教室などを行なう団体です。

2017年3月に、「障害者の働く環境を改善させるモデルを作り、広めていくこと」をコンセプトとした日本財団の『はたらくNIPPON!計画』プロジェクトと共同企画し、障害者就労支援のE’s CAFEをオープンしました。

E’s CAFEの外観写真

E’s CAFEの店内写真

メニューのイメージ

E’s CAFEは、店舗開店・運営の専門事業者と連携し、海外のスポーツクラブハウスをイメージした内装になっています。障がい者の賃金・工賃の低さは、国からの交付金頼みの事業所運営であることが原因だとして、純粋な事業収益のみで運営できるように考え、賃金はA型事業所での平均を大きく上回る最低10万円以上を目指します。

就労する障がい者が誇りを追って働き、生活をより豊かにできるよう、全国の福祉事業所のロールモデルとなることを目指しています。主な仕事内容はホールでの接客業務で、そのほか食器類の洗浄、調理補助など。今後は、店内で流す映像の編集や、オフィスビル内へコーヒーの配達なども計画中だそうです。

E’s CAFEで働くスタッフの写真

「障がいを持つスタッフが、それぞれに頑張って働いているところを見てほしいです。健常者スタッフが学ばせてもらうことも多々あります。私たちだけでなくお客様も含めて、障がいを持つスタッフと接することで、相互に良い影響があるのではないかと楽しみにしています」(日本財団E’s CAFEプロジェクト担当 廣瀬氏)。

5月23日に入社したばかりの障がいを持つスタッフは、「以前の職場では中々仕事を教えてもらえず、何をやってよいか分かりませんでした。ここでは分かりやすく指導してもらえます」と、仕事の楽しさを語ってくれました。

日本の脳性まひサッカーの活性化拠点にも

E’s CAFEには、脳性まひ(CP)サッカーの日本代表、浦 辰大(うら たつひろ)選手も勤務しています。「E’s CAFEが、障害を持つ人たちと健常者の良い交流の場になるのではないかと期待しています。個人的には、これまで自分にはできないだろうと思っていたことが、一つひとつできるようになっていく経験ができて、日ごとがとても楽しい。空いた時間に、サッカーのトレーニングができる環境も嬉しいです」(浦選手)。

CPサッカーのプレイ中の写真

日本のCPサッカー競技人口は約100名で、世界各国と比較すると小規模。競技自体に触れる機会が少ない上、練習場所が限られていたり、仕事との両立が難しいなど環境整備が遅れていて、パラリンピックでの成績も芳しくありません。

通常フットサルコートの使用料は通常2時間で2万~4万円と継続した練習をするには高額な上、19時以降は稼働率9割前後と予約するのも困難な傾向があります。どうしても練習量が落ちてしまうため、競技レベルを上げにくいという実情がありました。

そこで、カフェプロジェクト担当の廣瀬氏が目を付けたのが19時前のコート。稼働率が3~4割程度と一気に下がるこの時間帯でコートを利用できないか、隣接のフットサルコートを運営する株式会社クリエイティブヘッズに交渉を持ちかけたところ、CPサッカーの振興と障がい者就労の趣旨に賛同いただきCSRとして利用させてもらえるようになったのだとか。

今後は、こちらのコートを東京地区のCPサッカーチームのホームグラウンドとしていく予定です。そして、E’s CAFEは売上の一部をミニCPサッカー大会の開催に充てるなど、CPサッカーの振興拠点としての役割も果たしています。

仕事に『生きがい』や『やりがい』を見出せる幸せ

人が働くのは主に労働対価を得るためですが、それだけではないはずです。障がいがあってもなくても、働くことに『生きがい』や『やりがい』を感じられる仕事に就きたいと、誰しも願うもの。障害者就労では、そうした仕事に恵まれる機会がより限定的なのが、厳しいですが現実です。E’s CAFEの取り組みを通して、障がい者の就労環境の改善がどんどん広まっていくことを期待します。

スタッフが生き生きと仕事をするお店は、きっとお客さんにとっても気持ちの良い空間のはず。是非、E’s CAFEでその空気と美味しいコーヒーを味わってみたいですね!

E’s CAFEの店内写真

##店舗概要

E’s CAFE
住所:東京都多摩市 落合 ニューシティ多摩センタービル8F
電話:042-311-2022
Web:http://es-cafe.net/cafe_top_holiday.html

この記事を共有

アバター画像

ライター Media116編集部

障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

ブログ
公式HP
https://www.media116.jp/

このライターの記事一覧を見る

おすすめ記事

Media116とは?

アットジーピー

障害別専門支援の就労移行支援サービスアットジーピージョブトレ。障害に特化したトレーニングだから働き続ける力が身につく。職場定着率91パーセント。見学・個別相談会開催中!詳しくはこちら。

MENU
閉じる
ページの先頭へ戻る