”クワイエットアワー”をご存じ?知覚過敏の人も安心して楽しめる静寂の時間!
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ライター:Media116編集部
みなさんこんにちは、Media116編集部です。先日、日本財団主催のDIVERSITY IN THE ARTS企画展「ミュージアム・オブ・トゥギャザー」に行ってきました。ダイバーシティの実現を目指し障がい者の芸術文化支援として開催されたものです。障がい者を含めた現代美術家など23人の作品が合計500点展示されていました。そこで導入されていた1つのメソッドが「クワイエットアワー(Quiet Hour)というものです。」革新的な取り組みでしたので、ご紹介しますね!
クワイエットアワーってなに?
クワイエットアワーとは知覚や感覚に過敏さがあるの方向けの取り組みです。
日本ではまだ導入している企業はほとんどないのですが、イギリスのスーパーマーケットでは以下のようなことが実施されています。
週に1度、決まった時間帯に店内の「BGMを止める」「テレビなどの画面に映像を映さない」「店内の照明を必要以上に明るくしない」など。
特に発達障がいの方の中には、生まれつき「見え方・聞こえ方」が独特な方もいらっしゃり、明るいところで耐えられないほどまぶしく感じたり、聴覚過敏のある方は小さな物音が大音量に聞こえしまうという症状があります。それが原因でなかなか人の多い場所や照明がガンガン明るい場所におでかけにいくことに困難を感じてしまうということがあるそうです。
「クワイエットアワー」を作ることによって、感覚が過敏な方も買い物に来ることができるようになり、実施しているイギリスの店舗では売り上げが1割以上増加したそうです。
当事者の方もそのご家族もゆったりと安心して買い物を楽しめるようになり、企業側にもメリットのある有効的手段と言えます。
香取慎吾さんの作品も!障がい者健常者関係ない「アート」という想いの表現
今回取材した日本財団主催の企画展は
2017年10月13日(金)~10月31日(火)11:00~20:00スパイラルガーデンで開催されています。
元SMAPの香取慎吾さんの作品も飾ってあり、その作品の前には長蛇の列ができていました。
突然握手会にも来られたそうですね。ビックリ!
そしてこちらが香取慎吾さんの作品です!
クワイエットアワーの時間が終わり、一般公開の時間になるとこのようにお客さんでいっぱいに。
クワイエットアワーに参加した当事者の声は?
実際の雰囲気は、本当に「静寂」という言葉が似合うような部屋で、周りの方も話し声をおさえる、お客さん同士で一定の距離を保つ、などの配慮をしながらアートを鑑賞していきます。実際に参加した当事者の方々に、今回のクワイエットアワーについて感想を聞いてみると・・・
「障害者手帳を利用できる上野の美術館によく行くのですが、人の多さにまいってしまいます。クワイエットアワーでは作品に没頭できる。人を気にせず自分のペースで見学できるのがいい。」(Aさん)
「美術館が好きで行ったりする。ただ人の多さや他の人の会話がストレス。自分が近くで作品を見すぎていないかなど、自分の行動もどう見られているかが気になる。BGMもなく照明も落としてもらうと作品に没頭できる。今後もクワイエットアワーに参加したい。どこの美術館にもあると嬉しい。」(Bさん)
「人が多い環境でのストレスや、他の人の会話が気になってしまっていた。大きな美術館ではなく、千葉にある美術館に朝人の少ない時に行くようにしているので、こうした取り組みは非常に嬉しい。自分もアートを制作するので他の方の作品にヒントや気づきを貰える。アートを作る理由は、時によって異なるが言葉にしづらい思いを伝えたいという表現の手段。クワイエットアワーを通して、これから世の中が私達にとって住みやすい方向へ変わってくれるといい。」(Cさん)
また、「子供に障がいがある。絵が大好きだが、周りの子とのコミュニケーションが難しいため、今までアートに触れる機会が作れなかった。今回の展示では、子供も周りを気にせずアートを見たり、触ったりできて喜んでいる」という声も。
また、今回の会場は入り口に視覚障がい者用の触れる会場案内図や音声ガイドもありました。
ユニバーサルマナー研修を受けたスタッフの方もいらっしゃり、アプリによる会場周辺のバリアフリー情報の提供など、展示会場自体にも非常に手厚いサポートがありました。
誰もが自由に快適に過ごせる社会を
今回、はじめて「クワイエットアワー」なるものを体験して思ったことは、まだまだこれからではありますが社会全体が様々な障がいに対して(今回は知覚過敏という症状について)理解をしようと一歩踏み出してくれているのではないかということでした。
一方でひとくくりに知覚過敏といっても症状は千差万別で、感じ方も様々です。今後、このような取り組みはトライアンドエラーを繰り返しながら、徐々に困難を抱える障がい者の助けになっていくのだと思います。
障がい者が取り残される時代はだんだんと終わりを告げ、今後は誰もが日々を自由に、快適に、安心して過ごすことができる時代が来るのではないかと思います。もちろんその変化を受け取る側(障がい者側)も、社会も、一歩ずつ歩み寄っていくことが必要になるのでしょうね。
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