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一人暮らしがしたい!車椅子ユーザーの先輩に心得を聞いてみた

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ライター:Media116編集部

現在、1人暮らしを検討されている方もいらっしゃるかもしれません。1人暮らし歴の長い先輩たちはどのように部屋を借り、生活しているのでしょう?部屋の決め手は?住みやすさの工夫は?もちろん、ひとりひとり障がい状況が違うので部屋の見つけ方、使い方も百人百様でしょう。しかし、ひとつのケースを知ることで、イメージが膨らむことも。今回は一人暮らしの先輩のお話から、自分らしい部屋探しを考えてみてはいかがでしょうか?

一筋縄ではいかない「バリアフリー物件」探し

今回、取材に協力してくれたのは、車椅子ユーザーの女性Yさん。都内の会社に正社員として就職し、平日フルタイムで内勤の仕事をしています。Yさんは高校を卒業後、進学のために他県から上京。そのタイミングで1人暮らしをスタートしました。15年前から車椅子生活となり、単身での生活は20年以上。5、6回の引っ越しを経て、3年前から会社より電車で約1時間30分の場所にある、1Kの賃貸マンションに住んでいます。

引っ越し

まずはどのように部屋を探しましたか?

「今は不動産の検索サイトが充実しているので、ネットで調べて気になったところに問い合わせをしていきました。」

やはりバリアフリーであることを一番に考えて探すのですか?

「完全にバリアフリーの物件は少ないモノです。物件を検索するときに、『バリアフリー』のチェック欄がありますが、チェックをつけようものなら、100件あった物件が1件になってしまいます。『UR賃貸住宅』などは、障がい者向けの物件も扱っていますが、大抵、駅から遠く、バスや電車を乗り継いで会社に通うことになり、とても不便。なので、健常者と変わらない、一般の物件から選びます。」

となると、エントランスの段差はもちろんのこと、通行が難しい部分がたくさんありますよね。

「少しの段差が乗り越えられなかったり、逆に平気だったり。同じ車椅子ユーザーでも、何がハードルになるかは人によって違います。そもそもエントランスより前に、駅からマンションにたどり着くまでの間に『坂』があると諦めざるを得ないですしね。それは現地に行ってみないとわからないので、根気強く確認しに行きました。」

家探し

部屋探しのパートナーとしてサポートしてくれる、不動産屋の存在が重要になりそうです。障がいがある方だと部屋を借りにくいと聞くこともありますが、Yさんの場合はどうでしたか? 

「私たちが部屋を借りるときって、困難が待ち受けていることが多々あります。
●収入面
●災害時・緊急時の安全面について
この2つがかなり懸念されるポイントです。
東日本大震災があり、障害者差別解消法が施行され、徐々に良くなっては来ましたが、障がいがあることに人対しての対応が残念に感じる不動産屋はまだいますね。そんなこともあるか、と気持ちを切り替えて次の不動産屋にトライです!」

よい不動産屋とそうでないところ、見分ける方法はあるのでしょうか。

「問い合わせの段階できちんと対応してくれることでしょうか。でも一番は、よい不動産屋というより、『人』を見ることかなと。『この人に何としてもいい部屋を探してあげよう』、そんなふうに『プロとして熱意をもって取り組んでくれている』と感じると、信頼できるなと思います」

不動産

部屋探しの条件とくらしの工夫

部屋探しのときに外せない条件は何でしたか?

「私は車椅子ユーザーなので
●駅から近いこと(公共交通機関利用での通勤・外出が多いため)
●近隣にスーパー・コンビニがあること
●浴室・トイレ・玄関に段差がないこと
●部屋面積が25㎡であること(私の場合これくらいの広さがあれば生活スペースの確保が可能です。)

使いやすく変えたところはありますか?
●トイレのドア開閉が不便なので取り外してカーテンにした
●マンションのエントランスポストが一番上なので、ひっかけ棒と扉に鏡を張り取り残しを防止
●宅配BOXの一番上の荷物を入れられると取れなくなるので、管理会社に依頼し「▲▲号室の荷物は下段へ!」とラベルを貼ってもらう
こんなところですかね。」

ちょっとした工夫が大事なのですね。しかし賃貸住宅だと手を加えられないことも多いですよね。

「以前、住んでいた部屋では、車椅子のタイヤと床材の相性がよくないことと、玄関の段差が10センチくらいあるような状況でした。大家と不動産屋、役所と相談をして、退去時に原状復帰及びそれに伴う費用は自己負担であれば改修可能ということになって、フローリングマットを敷き、スロープと手すりをつけるリフォーム工事を行いました。役所・大家サイドとの話し合いだったり、リフォームについては補助が出る場合もありますが、原状復帰の費用は全額自己負担となるので注意が必要です。」

バリアフリー

大家には障がいがあることを伝えましたか?

「もちろんしました。災害のときに速やかに身の安全をはかるためにも、管理会社に周知して、いざというときに問題を伝えやすくしておくことが大事だと思います。役所の対応も色々ですが、私は、『こうあったらいい』と思わないようにしているんです。」

「完璧なシステムを求めると果てしなくありますし、それよりは自分から情報を取りに行くこと、先ほどのポストの話のように、出来ることは自分で変えていくことを心がけています。正直、何が困っているのかよくわからないくらいさまざまなことが起きますが、1人暮らしのよいところは、自分のことを自分で普通にできること。これからも続けていきます。」

求めるだけじゃない、課題に向かっていくということ

お話を伺っていると、「バリアフリー対応の理想の部屋」を探すのではなく、部屋の課題をひとつひとつクリアしてご自身の「くらしに合った工夫」を施されているのだとわかりました。「こうしてほしい」「これがあったらいい」…もちろん、完璧を求めれば要望は尽きません。しかしYさんのお話からわかったことは、障がいに甘んじて相手に「求める」だけではなく、自分で課題解決に向けて「トライ」していくことが何より大切なスタンスだということでした。今回はYさんの例をご紹介しましたが、住居問題について皆さんはどのように対処・工夫されているでしょうか?TwitterやFacebookなどから教えて頂ければ幸いです!

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ライター Media116編集部

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