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統合失調症の方が自身の足で第一歩を踏み出すまで ~田中さん(仮)の場合~

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統合失調症の方が自身の足で第一歩を踏み出すまで ~田中さん(仮)の場合~

ライター:統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

「100人に1人」ともいわれる統合失調症。ご本人が症状に気づき、社会復帰するまでに年月を費やすケースも少なくないですが、一方で周囲の適切なサポートを受けることで回復に向かわれる方も多々いらっしゃいます。今回は、就労に向かって着実に前進している田中さん(仮名)の体験談をご紹介します。

今思えば、あれが統合失調症の症状だった。~症状発病~

正直、何がきっかけか、いつからなのかは自分ではわからない点もある。なぜなら、その時の自分にとっては本当の出来事であり本当に聞こえていたから。今思えば、あれが症状だったのかなという感じだ。

「服がダサい」「ガリ勉」「いい気になってる」

などと悪口を言われ続け、つらくなり予備校に通えなくなった。

―――  そのうち家でも予備校の仲間の声で悪口が聞こえはじめた。

「とうとう家にまでおしかけてきたのか、カメラでも設置したのか!」と考え、いてもたってもいられなくなる。カーテンの後ろ、クローゼットの中、ベッドの下?どこに隠れているのか!?

家から出るのが更に怖くなり、結果ひきこもるようになった。

頭を抱える様子

しかし、両親に「家にいるはずもないのに聞こえるのはおかしい」と言われ、確かにそうだ、と考えイヤイヤながら両親と一緒に心療内科に行った。

そこで統合失調症と診断される。しかし、診断されても半信半疑だった。

なぜなら「本当に聞こえてたから」。

勝手に薬をやめた結果・・・重症化。

薬を処方され、聞こえてくる悪口の回数は減った。しかし、なんだか全身につきさすような痛みが走りじっとしていられない。だから勝手に薬をやめた

すると、今度はもっとたくさんの声が聞こえ始めた。街を歩くだけで、知らない人でも自分のことをヒソヒソと悪口をいっている。

「薬飲まなくなったんだって・・・」

「予備校いかないでなにやってんだろうね・・・」

「相変わらず服ダサいよね・・・」

とヒソヒソ言っている。もうおかしくなって、、、、、そこから先は記憶がない。

頭を抱える様子

気づいたら病院のベッドの上。2週間入院となった。そこで「あ~自分は病気なんだ」「薬はやめてはいけないんだ」「二度と同じようになりたくない」・・・入院中に考えた。

退院後は主治医のアドバイスをしっかり聞いた。薬も変えてくれた。服薬も勝手に判断せずちゃんと服用した。その結果、ゆっくりだけど回復してきた

昔からの幼馴染だけには自分の話を聞いてもらっていた。病気になってこんなに変わった自分を見捨てず応援してくれる友人が救いだった。

社会復帰を目指し、自分の足で歩き出す

主治医のアドバイスに基づいて治療と続けた結果、徐々に症状も回復してきた。夢だった大学進学はあきらめたが、仕事は無理そうだけど、病気になる前から好きだったファッションも楽しみたいし、旅行とかも行きたいし、みんなみたいに就職してちゃんと稼ぎたい。

そんな時、友人が「障がい者が企業への就職することをサポートするためのサービス(就労移行支援事業所)」があるということを教えてくれた

このサービスは毎日この施設に通いながら訓練やサポートを受ける。だから生活面でも自立が必要だと保健所の人に言われた。思えば病気してからは特に生活面は母が全部やってくれていた。故に自分で生活がなにもできていなかった。また母との共依存も指摘された。

自分の足で第一歩を歩き出す様子

「一人暮らしをすることが必要」とのアドバイスに従い、初めて一人暮らしを開始した。

生まれて初めて自分で身のまわりのことをやることになり、パニックの連続。なにせ洗濯、買い物、掃除、食事は何をどうすればよいのかもさっぱり分からない。「洗剤ってどこで買うの?パンってどこで買うの?牛乳は?」

生活面の自立と、就労移行支援への通所の両立に不安でいっぱいだった。就労移行支援は週2日からスタートしたが、それでもいっぱいいっぱいで、かなりパニックだった。けど就職するって決めたから、就労移行支援事業所には絶対通いたい!だから頑張りたい。と思った。

そして今、就労まであと少しのところまで来た。

週2日から始めた通所も3か月たった今、週5日なった。洗濯はためて洗えばよいことも覚えたし、生活費の使い方も毎月やりくりできるようになってきた。そして、通所前はとても苦手だった周りの人との雑談や、自分が困ったときに発するSOSのサインなどもできるようになった。少しずつ利用日数が増やせてきていてとても自信につながっている。

事業所から、他の利用者さんが就職決定しているのをみると自分にも勇気が湧いてくる
今でも時々「その服はないだろう」とか、聞こえてくることはある。でも、現実の声ではないことは理解できている。事業所で他の方の症状の話をお互い話している中で、「考えてみるといつも同じ声、同じような内容」だと気づき、現実の声でない事を理解できるようになった。

まだ課題は残っている。―――― でも、このまま体調も安定させて就職に向けて頑張っていきたい。


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ライター 統合失調症のある方向けサービス リドアーズ

統合失調症のある方向けの就職支援サービス。統合失調症がある方の就職や安定就労のためのノウハウなど、統合失調症に関するさまざまな情報を発信していきます。

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http://www.redoors.jp/

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