銭湯で就労のトレーニングってそんなのアリ? 就労継続支援事業所「カラコネオフィス」の取り組み

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ライター:Media116編集部

就労継続支援事業ってご存知ですか?当事者の方も意外と知らないこの言葉、「障がいにより企業への就労が難しい方が、一般就労を目指すために働きながら訓練を行う」=つまり就労を支援する事業のことを指します。

通常の就労継続支援事業といえば室内の内職的な仕事が多いイメージですが、本日紹介する「カラコネオフィス」の仕事はなんと「銭湯で働く」という型破りなもの。聞くところによると、この銭湯に通所する当事者の方は、みな活き活きと働き、前向きに就労に向かっていくとのこと。

「銭湯で、なぜ・・・?」

その銭湯というのが、Media116でもご紹介したバリアフリー銭湯「御谷湯」なのです。今回はこの「御谷湯」におじゃまし、NPO法人カラフル・コネクターズの代表、ボーンクロイドさんにお話を伺い、カラコネオフィスの日常をレポートします。

まず銭湯が型破り!徹底したバリアフリーのユニバーサル銭湯

そもそも「御谷湯」は1947年に創業した歴史ある銭湯ですが、銭湯主人の伊藤さんが2015年の5月に「高齢者や障がい者にとっても使いやすく、地域との交流が図れる地域の憩いの場にしたい」という想いのもと、5階建ての洗練されたデザインのビルに一大リニューアルしました。(詳細は関連記事でご確認頂ければ幸いです。)

御谷湯の玄関の写真

このリニューアルのタイミングで、NPO法人カラフル・コネクターズ(カラコネ)代表のボーン クロイドさんが想いを共にする「御谷湯」とタイアップし、「銭湯で働く就労継続支援B型サービス事業所」という新しいスタイルの障がい者支援施設が誕生しました。

障がい者支援施設が「なぜ銭湯」?

お客様が浴槽につかっている写真

まず、最初に気になるのは「なぜ銭湯なのか?」ということ。代表のボーンさんに聞いてみたところ、

「元々、私がスーツ仕事が好きじゃないんです(笑)。就労継続支援といえば事務職など仕事が片寄っていると感じていましたが、机に座りPCで黙々と仕事することが、障がいを持った人たちにとって精神的にも体力的にもいい事なのだろうか、という疑問がありました。

同時に、限られた選択肢から仕事を選ぶのではなく、さまざまな可能性からやりたいこと、自分にあったことを選んで欲しいという想いもありました。だから事務系の職種で就労移行をしたくなかった。

銭湯仕事は体力がつくし、仕事の上でお互いが声を掛け合う、といったコミュニケーションが発生する、心身を改善させていく上でピッタリの仕事だと感じましたし、様々なカタチで達成感も得られやすいんです。

例えば、昨日の汚れが綺麗になるという分かりやすい達成感。そして、お客さんと直接あって、感謝されるという達成感です。

そして、銭湯ではお出迎えする当事者のスタッフに対して、常連さんから声をかけてくる。地域社会との交流が生まれるんです。普通の就労継続支援にはない、カラコネオフィスの良さだと思います」

目いっぱい汗をかきながら働き地域の人と交流する ~御谷湯の1日~

カラコネオフィスに就労する利用者スタッフは20名程度。精神障がい、発達障がい、知的障がい、高次脳機能障がいを持った方で、うつ、躁鬱、統合失調症、自閉症など様々な方が週2-5日の頻度で就業しています。

「御谷湯」では、番台以外のほとんどの仕事を当事者と福祉職員の方に一任しています。もはや完全に「御谷湯」になくてはならないスタッフの一員。1日の作業はというと・・・。

【御谷湯における1日の作業】

9時30分: 朝礼 スタッフの作業の役割分担などを確認。その後、ラジオ体操。

9時45分: 4~5階にある銭湯へ移動し清掃を開始。トイレ、脱衣所、浴槽など各スタッフが担当パートの清掃を開始。番台以外の清掃作業や水はり、ボイラースイッチONなどほぼカラコネスタッフに一任されています。
※ヒヤリハットを未然に防ぐため、洗剤一つもこだわります。清掃中に滑って転倒しないように、滑りにくい洗剤を使用する、といった工夫されているとのこと。

スタッフが手分けして銭湯内を清掃する様子
脱衣所の写真
トイレを清掃する様子

12時: 12時までに清掃作業は終了。(15時30分のオープンから逆算すると、お湯を炊く時間を勘案すると12時が清掃のタイムリミットとのことでした。)

13時: 1階の番台、休憩スペースや、銭湯に隣接するコインランドリーなどの清掃を行います。

14時30分: 希望するスタッフのみ、内職作業の手伝い。

15時30分: 御谷湯オープン。常連さんをお出迎えして、全作業終了です。

お出迎えの様子の写真

「体力をつけるつもりで入ったが、仕事のやりがいが見つかった!」

では、カラコネオフィスの銭湯スタッフの方は、実際に働いてみてどんな感想を持ったのだろうか?

「元々は体力をつけたい、という気持ちでここを選んだんです。体力がついた実感はありますね。特に厳しい夏場の仕事を乗り切ったことで自信もつきました。

なにより、御谷湯での仕事を通じて自分の能力や適正、そしてやりたいことが見つかったことが大きかったです。

元々事務職経験があり、PCは使えるのですが、今後、事務職を続けるより専門的な技能のある仕事の方がいい。御谷湯での銭湯の清掃作業を通じて、清掃に関する技術や知識が身に就きました。体力もついた。そして、自分が綺麗にした銭湯を心待ちにする常連さんと相対し、感謝される。清掃に楽しさ・やりがいを感じました。今は清掃関連業に就職したいと思っています。」

浴槽を一生懸命に磨いている通所者スタッフの方の写真

カラコネオフィスの今後の展望は?

最後に、ボーンさんに今後のカラコネオフィスの展望について聞いてみました。

「まず、スタッフの工賃を上げる工夫をしていきたい。そのためにも御谷湯において、スタッフの1人としてどんどん職域を広げていきたいと思っています。さらには銭湯の仕事以外にも色々チャレンジしていきたい。例えば、この苔玉。和風で御谷湯の雰囲気にピッタリだし、スタッフが制作して販売できないか、など常に模索していますね。

苔玉の写真

そして、卒業生の人生そのものにも関わっていきたい。例えば、地元のお祭りの時には御谷湯を土日も空けるのですが、この日は卒業生も作業を手伝ってもらっています。

仕事はあくまで人生の一要素、仕事が全てではありません。カラコネオフィスのスタッフが就職した後も「人生を楽しく過ごす」ために関わっていきたいと思っています。」
NPO法人カラフル・コネクターズ(カラコネ)ホームページ
http://colorful2015.webcrow.jp/
御谷湯ホームページ
http://mikokuyu.com/

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障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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