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「カッコイイ」働き方で世界を獲る!久遠チョコレートが目指す新しい障害者雇用のカタチとは?

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ライター:Media116編集部

こんにちは!Media116編集部です。皆さんは、給与や仕事内容に対して「仕方ない」と思った経験はありませんか?ある男性は「仕方ない」と諦められてきた障害者雇用の現状を知り一念発起、15年の歳月をかけて障がいのある方でも仕事に誇りを持ち正規正当な報酬を得られる人気のスイーツブランドを育てあげます。それが「久遠チョコレート」を設立した一般社団法人ラ・バルカグループ代表理事 夏目浩次さんです。今回は、夏目さんに「久遠チョコレート」設立への熱い想いや従業員の働き方、そして彼らが誇りを持って働けている秘密について取材をさせて頂きました!

「久遠チョコレート」とは?

「久遠チョコレート」は一般社団法人ラ・バルカグループが運営するチョコレートブランドです。直営店の運営と継続支援へのフランチャイズ化により全国で33店舗を展開、その勢いはますます拡大しています。

久遠チョコレートの看板商品は「テリーヌ」。地域の食材を使った展開でラインナップは100種類以上。その他にもチョコレートでコーティングした「おかき」、ドライフルーツをディップした商品やチョコレートドリンクなども販売され人気を博しています。

各商品集合イメージ

「久遠チョコレート」のこだわりは、この取り組みを「福祉」ではなく「ビジネス」として捉えていること。障がいの有無は関係ない、良質で斬新な商品を提供することにより、働く障がい者が正当な報酬を得て、仕事にも誇りが持てる機会を生み出しています。

2014 年からは、日本財団とタッグを組み「全国夢のチョコレートプロジェクト」を開始、障がい当事者や障がい児を持つ親、不登校児など、より多様な方々を雇用しています。創業から5年という短い期間で東京・大阪・京都など全国の大手百貨店に進出するなど急成長した「久遠チョコレート」。その裏側には夏目さんの熱い想いがありました。

「仕方ない」の先には変化も成長もない

夏目さんは元々、サラリーマンとして都市計画のコンサルタントをされていました。バリアフリー箇所のコンサルを手がけていた時、当事者のためになる計画が作れないことも多かったと言います。本当に当事者のためになるよう丁寧に計画をしたい夏目さんの意志に反し、上司からは「とりあえず作らなければいけない、理想通りにできなくとも仕方がない。」と指示をされ悶々とした日々を過ごしていました。

そんな時、障がい者のベーカリーカフェを運営する小倉昌男さんの本に出会いました。それからというもの休日に障がい者の作業所に足を運ぶようになり、そこで障がい当事者の賃金が月3000円~4000円程度だと知ることになるのです。なぜそんなに賃金が低いのか?驚き問いかける夏目さんに、施設の方はこう答えるのでした。「できる仕事も限られているし、これしか払えない。福祉の仕組みで仕方ないんです。」

「仕方ない」

バリアフリー設計の際に上司も言っていたその言葉。その時夏目さんは「自分が仕方ないを変える」そう強く思われたのでした。そして2003年3月、サラリーマンを辞め個人事業主として3人の障がい者を雇い、「久遠チョコレート」の原点となるパン工房「ラ・バルカ」を開店しました。

大抵の人であれば「仕方ない」に疑問をもっても、実際に現状を変えようと行動に移すことは難しいのではないか、「仕方ない」を変える原動力は一体何だったのか、そう問いかけるとこう仰るのでした。

「仕方ないと思っていたら成長も変化もないんです。成長も終わってしまうと思います。もともと理不尽でナンセンスなことは好きじゃないんです。」

夏目様

作り手を「排除しない」食材、それがチョコレート

パン工房を運営しながら感じていた課題は「食材と作り手のマッチ」でした。例えばパンであれば新しい商品が出るたびに新しい工程を覚えなければならない、作業は時間との闘いで、作り手の都合など待ってはくれません。障がいのある方にとって、時には高いハードルとなりえます。誰でもいいものが作れ、作り手の都合に合わせて調理が可能な「作る工程で誰も排除しない食材」がないか、模索する日々を過ごしたと言います。

そして「ラ・バルカ」開店から15年後のある日、夏目さんはショコラティエの野口和男さんに出会い、「チョコレート」という食材と運命の出会いをします。
『チョコレートは、化学的なもの。正しい材料を使って正しく作れば、だれでもいいものが作れる』
夏目さんはチョコレートこそが「作る工程で誰も排除しない食材」だと確信します。

そして、夏目さんの「誰かを排除しなければ出来ないやり方は好まない」 という信条のもと、どんな障がいのある方でも一緒に作ることができるデイリーでカジュアルな商品を…そう考えた時にチョコレートに行きついたと言います。

「久遠チョコレート」の商品は100種類以上ですが、5つのカテゴリーを軸に表現・展開をしています。どの商品を作る工程にも障がいのある方に限らず多様な方 が作ることを視野に入れた配慮をし、工夫がなされています。溶かす、具材を合わせる、型に流し込む、合わせる素材を配置する・・・等、「誰でもできる」工程で商品を作ることが出来る様にしたことで、工程が覚えやすく、それぞれ自分に合った工程で力を発揮できるようになっています。

ドライフルーツ・イメージ集合

チョコレートの種類が変わればフレーバー展開が増え、合わせる食材と形を変えれば商品展開が増え、一度チョコレートの扱いを覚えてしまえば、テリーヌを作ることも、ドライフルーツにディップすることも、おかきと合わせることもでき、商品の可能性を無限大に広げることができます。それが夏目さんの出逢った、久遠チョコレートの展開する【魔法のチョコレート】なのです。

「多様性」のある働き方を目指して

久遠チョコレートの全拠点で働いている従業員は330名、そのうち230名は障がいのある方です。(そのうち210名が就労継続支援B型から雇用されているとのこと。)雇用されている中では発達障がいや精神障がい、知的障がいのある方が多いそうで、障がい種別も等級も区別なく様々な障がいのある方を雇用されています。障害者雇用に限らず、ママさんや不登校の中高生なども受け入れており多様な方が働く場所となっています。

働き方も多様性に富んでおり、1日8時間、週休2日と一般企業と変わらない働き方をする方もいれば、その方の特性や状況に合わせて労働時間や勤務日数を変えたりとフレキシブルに対応が可能とのこと。チョコレートを通していろいろな役割を担っており、プロのショコラティエとして働いています。

工場内 厨房

こうした取り組みが高く評価され、2018年12月には第2回「ジャパンSDGsアワード 内閣官房長官賞」を受賞しています。
※SDGs(持続可能な開発目標)とは…2015年に国連で採択され貧困、労働、平和など17の大きな目標があり、2030年までに達成すべく掲げられたものです。詳しくはこちら

また、株式会社ベルシステム24ホールディングスとも「SDGsの推進と持続可能な地域づくりに関する連携協定」の締結をし、障がい者10名を含む計13名を新たに採用し、愛知県豊橋市に工場を開設しました。他にも久遠チョコレートとタッグを組みたいというオファーは絶えないそうです。久遠チョコレートは多様性を重んじた雇用のモデルとして企業からも一目を置かれる存在なのです。

「誇り」を持って働き、自己実現をする

久遠チョコレートのコンセプトはあくまで「カッコイイ」にこだわったと夏目さんは仰っていました。それは障がいの有無に関わらず「カッコイイ」人気店で「カッコよく」働けたら従業員が働くことへの「誇り」を感じ、それが自信につながると思ったからだそうです。
「カッコよく」働いているという「誇り」を持ちながら、働くことの楽しさを感じ、収入を得る。「自己実現の幅が広がる」と夏目さんは言います。

様々な働き方を表現していく中で、移動販売車という事業スタイルを展開している方の後押しも行っています。例えば、静岡県沼津市で2019年2月からスタートしている久遠チョコレートの移動販売車があります。自閉症のある方とそのお母さんが2人で運営しています。今後は実店舗に限らず、移動販売車のような事業スタイルの展開も考えているそうです。こういった新しい働き方や自立をどんどん支援していくという姿勢があるからこそ従業員が生き生きと「誇り」を持って働けているのでしょう。

従業員の方

あらゆる素材にチョコレートをかけあわせることで付加価値が生まれ、販売価格が上がる。加えて無限のかけあわせができるので豊富なラインナップを取り揃えることができます。さらに地域の食材を使うことで「独自性」という付加価値も同時に生み出しています。その結果、販路が広がり売り上げが向上、従業員への賃金の還元率が高くなるという仕組みを可能にしています。また、販売価格に対して作業工程が簡単で作業生産性が良いことによって、労働者の給与アップにつながっているという側面もあります。

自分が汗水たらして働いて得たそのお金で流行のゲーム機器等を買って楽しんだり、様々な経験をしたり、そして一見無駄遣いをしているように見えるお金の遣い方でも、それも人としての当たり前の欲求を満たしている証だと夏目さんは言います。

「みんなで世界を獲る」目標は、世界。

夏目さんに将来的な目標はなんですか?と伺うと、一言

「みんなで世界を獲る」。

そのためにまずは日本の3大百貨店への出品を制覇すること。名古屋高島屋、梅田阪急への出店は制覇しており、あとは新宿伊勢丹を残すのみ。

そして経済的なアプローチの中で分かりやすい成果として「上場」を目標にするとのこと。あくまで上場が目的なのではなく、久遠チョコレートというブランドを経て実現したい世界の具現化のための手段としての上場なのです。

そしてそれを成すのは夏目さんひとりでも「久遠チョコレート」という名前でもなく、働いている「みんな」で成し遂げたいという強い思いがありました。

変わりつつある障害者 雇用のあり方

最後に、夏目さんは現在の障害者雇用に対してこう仰っていました。

「人は凸凹な存在で得手不得手があるものです。そしてその凸凹を一概にならす社会じゃなくパズルのように組み合わせていくことが大切だと思います。経済の面でもそれが次なる高度成長のありようだと思っています。」

取材をさせて頂き、障がいのある方と「はたらく」ということがもっと身近で自由な社会になりつつあるのだと感じました。久遠チョコレートの先進的な取り組みや柔軟な働き方、多様性を受け入れる前向きな姿勢…世の中がどんどん変わりつつあるということを実感させられ、障がいのある方を取り巻く環境に明るい兆しが見えました。

そして何より久遠チョコレートの従業員の方が「カッコよく」働けているのはきっと、夏目様自身の熱い想いが「カッコイイ」からなのでしょう。

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Media116編集部

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障がいのある方のためのライフスタイルメディアMedia116の編集部。障がいのある方の日常に関わるさまざまなジャンルの情報を分かりやすく発信していきます。

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